日本に自然に生息している亀と言えばミドリガメ、イシガメ、クサガメの水棲亀(主に水中を生活の場としているカメ)です。おそらくカメを初めて飼うという方は安く購入できて比較的飼育の簡単なこれらの水棲亀から飼い始めることが多いのではないでしょうか?
亀を飼いたいけど飼育の知識がないという方はまずその種類と飼い方の基本的な知識について見てみましょう。
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日本に生息しているカメ
最近はペットとして海外から輸入されたものが無責任な飼い主によって捨てられ自然の中で生息しているカメについてニュースになったりしていますが、基本的に日本でよく見られるカメは以下で紹介するミドリガメ、イシガメ、クサガメの3つでしょう。
ミドリガメ
幼体のときは全体的に緑色なのでミドリガメとも言われています。一番見たことがあるカメじゃないでしょうか?昔はよくお祭りの屋台などで売られていましたね。ペットショップでも必ずと言っていいほど売っていました。実はミドリガメと呼ばれるカメだけでも下にいくつか紹介しますが種類がたくさんあります。
幼体の時は緑色だったのに成体になるにつれて緑色が薄くなり黒っぽくなるなどそれぞれの特徴が出てくるようです。一番有名なのはミシシッピアカミミガメで名前の通り頭の横(人間でいう耳のあたり)が赤いカメです。
雑食ですが、幼体は肉食性が強く、成体になるにつれ草食性が強くなる傾向があります。寿命は20~30年と言われ、大きさはオスよりメスが大きく、20~30cmほどになります。上手に育てると30cmを超える個体もいるので飼育には大きめのケージが必要となります。
現在日本の池や沼、川などで自然に生息しているのが確認されていますが、実はこのカメはアメリカ原産でペットとして輸入されたものが捨てられるなどして国内に帰化したものです。少し気性が荒い個体も多いようですが、人懐っこく丈夫で飼いやすいため初心者向きのカメです。慣れれば手から餌を食べるようになります。
○ミシシッピアカミミガメ
出典:http://homepage2.nifty.com/
ミドリガメと言えば一番ポピュラーなのがこのミシシッピアカミミガメです。日本で売っている90%以上がこれです。雑食であり、昆虫や小魚等を食べて生活しています。
○キバラガメ(イエローベリータートル)
出典:http://www35.tok2.com/home/mucklam/HP002/kk/kibaragame.htm
ミシシッピアカミミガメの亜種で、ミシシッピアカミミガメに次いで多く輸入されているカメです。名前の通りお腹が黄色く、“イエローベリータートル”という名前で売られていることもあります。
○フロリダアカハラガメ(フロリダレッドベリー)
別名はフロリダレッドベリー。名前の通りお腹の色が赤色(またはオレンジ色)をしています。甲羅が厚めなため十分な紫外線を浴びる必要があるので長めの日光浴が必要です。原種はミシシッピワニの作った巣に卵を産むことで有名です。
○コロンビアクジャクガメ
出典:http://d.hatena.ne.jp/tierra_verde/
成体では甲羅が濃い青緑色、お腹が赤やオレンジ色、または黄色やクリーム色となります。特に幼体では甲羅の模様がクジャクの羽のような模様(眼状斑)となっています。
熱帯地域に生息しているためミシシッピアカミミガメなどに比べると温度を高めに保つ必要があるため初心者には難易度が高くなります。昔は多く販売されていましたが、ミシシッピアカミミガメなどよりも飼育の難易度が高く、原産国でカメの保護が強化されたことや養殖コストが高いなどの理由で現在ではショップで取り扱う量も少なく値段も高いようです。
○リバークーター(コンキンヌマガメ)
出典:http://matsumalog.at.webry.info/
昔はコンキンヌマガメという名前で販売されていましたが、最近ではリーバクーターという名前で販売されていることが多いです。他のミドリガメに比べると大型(30cm後半)になります。神経質で臆病な性格の個体が多いです。お腹は黄色やクリーム色で甲羅は黒っぽくなり黄色い線が入るなど個体差があります。
○ペニンシュラクーター
出典:http://fukaebashi.kansai-reptile-pro.com/
出典:http://orcaproject.blog.fc2.com/
アメリカはフロリダ半島原産です。成体はミシシッピアカミミガメよりも少し大きめになります。お腹は黄色やクリーム色で甲羅は幼体のうちは鮮やかな黄色いラインが目立ちますが成体になるにつれ暗褐色または黒っぽくなります。成体でも顔や手足の黄色い模様が特徴的です。個体によって多様な模様となるようです。
イシガメ(ニホンイシガメ)
日本でイシガメと言えば日本の固有種であるニホンイシガメです。オスは10~15cmほど、メスは20~25cmほどです。寿命は15~20年程とされています。甲羅の色は個体差があり多様であり、黄色や黄土色から赤っぽい色などですが日本的で和の趣のある落ち着いた色合いが魅力的なところでもあります。
日本の気候に合っているため低い気温にも強いですが、水質には敏感できれいな水を好むので飼育する際は水の汚れに注意が必要です。野生種は神経質で警戒心が強いですが飼育下では飼い主によく慣れ、近寄ってきて飼い主の手から餌も食べてくれます。
ニホンイシガメはきれいな水質を好む習性に加え、外来種に比べ繁殖力が弱いことから個体数が減少しています。人間活動(乱獲=ペット用に大量に捕獲された、護岸=産卵場所の減少、農薬=餌となる小動物の減少)によるもの、繁殖力の強いミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)などの外来種の影響が大きいと言われています。同じく外来種であるウシガエルに幼体が食べられているという報告もあります。個体数の減少に伴い、環境省レッドリストの『準絶滅危惧種』というカテゴリーに入っています。保護活動を講じなければいずれ絶滅してしまう可能性があります。
クサガメ
出典:http://homepage2.nifty.com/
イシガメと同じくクサガメもオスよりメスが大きくなります。オスは成長すると甲羅が黒く(メラニズム)なります。オスは15~20cmほど、メスは20~30cmほどです。寿命はイシガメと同じく15~20年程とされています。
イシガメと共に昔から日本にいるカメのように思われがちですが、現在はクサガメの原産は韓国や中国などの大陸であり、日本のクサガメは外来種であるという説が有力です。日本におけるクサガメについての記述は江戸時代後期の文献で初めて“ヤマガメ”という名で登場することになりますが、いつ大陸から日本にクサガメが持ち込まれたのかは定かではありません。また在来種だという説もあり、まだはっきりしていないところではあります。
クサガメはイシガメと違い顔に黄色い模様があります。これが草のような模様であることから 『草亀』 と呼ばれるようになったという説もありますが、どうやら 『臭亀』 というのが合っているようです。クサガメには臭腺があり、外敵に襲われたときに強い匂いを発します。普通に飼育しているものはこの匂いを発することは滅多にありません。一度私は自然下で外敵に襲われたクサガメを手にしたことがありますが、とても強烈な匂いを発しており、この匂いは手に付くと洗ってもしばらく取れないくらいでした。青臭いような雑巾のような匂いをギュウウッと凝縮したような匂いでした。
クサガメもニホンイシガメと同様に個体数が減少しています。今後多方面からの保護が必要となるでしょう。
ゼニガメとは
上に書いたイシガメとクサガメの幼体(子亀)のことを“ゼニガメ”と呼びます。元々はイシガメの幼体のことをゼニガメと呼ばれ、販売されていました。しかし、イシガメの個体数が激減したため、今度はクサガメの幼体がゼニガメという名で販売されるようになりました。そして、いつしかクサガメの幼体もゼニガメと呼ばれるようになり、現在ペットショップで販売されているゼニガメのほとんどがクサガメの幼体で、イシガメの幼体は非常に少ないようです。というか、現在はほぼすべてがクサガメの幼体であるようです。
イシガメの幼体(ゼニガメ)
クサガメの幼体(ゼニガメ)
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ミズガメ(水棲亀)の基本的な飼い方
初めてカメを飼う場合は、上で紹介したミドリガメ、ニホンイシガメ、クサガメのどれかのことが多いのではないでしょうか?次にこれらの水棲亀の基本的な飼い方を紹介します。カメは長生きです。そしてペットショップで売っているときは小さくてかわいいですが数年もすると非常に大きくなります。購入する前に基本的な知識を勉強してしっかり準備をしてからお迎えしてあげましょう。
ミズガメの飼育に必要な用品
飼育ケージ
ケージは観賞魚用の水槽で飼う場合と衣装ケースなどを代用する場合があります。初心者の場合は安全面などから見てもまずは水槽で飼うほうがよいです。そして水槽はプラスチックやアクリルよりもガラス製がおすすめです。プラスチックやアクリルでは表面に傷がつきやすくヒーターの熱で溶けてしまうなどのリスクが考えられるからです。
ケージとなる水槽の大きさは最低でもカメの大きさの3~4倍を目安にします。小さな子亀を買ってきたとしても数年でかなり大きくなるので、あらかじめ大きな水槽を準備してあげましょう。イシガメ、クサガメならば60cm水槽、ミドリガメはさらに大きくなる可能性もあるので90cm水槽が必要となります。
60cm水槽ならこちら(フレームレスで見た目もスッキリです)
90cm水槽ならこちら(こちらもフレームレスで見た目もスッキリです)
砂利
砂利があると糞や食べ残しの餌を一時的に砂利の中にストックしてくれることでダイレクトに水を汚してしまうことを抑えてくれます。また、砂利の表面の微生物が汚れを分解してくれるので水の汚れるスピードが緩やかになります。
しかし、砂利の中に糞などが溜まりすぎると、今度は逆に水が汚れやすくなります。水替えが大変になるというデメリットもあります。レイアウト的にどうしても入れたいのであれば、水量の大きな水槽であったり(水量が多いと水が汚れるスピードが抑えられるため)、濾過フィルターも併用するようにしましょう。
カメにとっても砂利が必要なのかというとそういうわけでもないので、砂利を敷くことは絶対ではありません。
砂利は結構な量を使うで多めに準備しましょう!
砂利を掃除するならこれは必需品!砂利の中のゴミだけを取り除くアイテムです。
水中ヒーター
水温をカメの飼育に最適な温度(約26~28℃)に自動的に調整してくれるカメ専用のヒーターがあります。水温が下がりすぎれば自動的にスイッチが入り、水温が上がりすぎればスイッチが切れるようになっていて、常に一定の水温を保つことができます。特に子亀の場合は冬場冬眠させると体力がもたずに死んでしまうこともあるので冬眠させることは避け、保温してあげるといいです。夏場は必要ないですが、寒くなり水温が低くなると餌食いも悪くなりますし、消化不良を起こしやすくなるのでヒーターは必ず用意してあげましょう。
水槽の大きさに合わせて必要なワット数のヒーターを準備してあげます。60cmまでなら50Wでよいですが、90cm以上となると100Wのヒーターを用意しましょう。水量に対してヒーターの能力不足で常にONの状態になると消耗が激しくなり、故障の原因になります。万が一の為に50Wを2個同時に使うという方法もおすすめです。
浮島や陸地
カメが水から這い上がり、甲羅を干して皮膚病を防いだり太陽光(またはライト)に当たるために必要です。専用の浮島を準備しなくてもレンガなどを用意して陸地を作ってあげるようにしましょう。陸地はカメの大きさの2倍くらいの広さを作ってあげましょう。
水深によって浮島が上下してくれるタイプで便利です。M、L、XLサイズがあるので水槽やカメの大きさによってサイズを変えてあげましょう。
水中フィルター
フィルターを付けることで水質の悪化を抑制することができますが、カメは非常に水を汚すのでフィルターだけでは汚れの分解は追いつきません。正直、汚れを分解するというよりは、大きなゴミを取る、水流を作ることで水の腐敗を防ぐ程度に考えたほうが良いと思います。(止水はすぐ腐ります)毎日水換えするのが理想ですが数日に一度は水替えをしてあげる必要があります。
※実はカメは飼育水を飲んでいます。ですがこの飼育水が汚れていると飲むのを止め、これが長く続くと脱水症状になってしまいます。また、水が汚れていると皮膚病にもなるのでこまめな水替えが必要です。
餌(食べ物)
人工のペレット状の餌があるので数分間で食べきる量をあげます。飼料メーカーによって味が違うのでなかなか食べてくれない場合は違う餌を与えてみましょう。子亀の場合は朝に1回、または朝晩1回ずつ。成体であれば2~3日に1回でいいです。
定番!おすすめ!
子亀にはこちら!
飼い始めの時は食べきる量がどのくらいかわからないので、少しずつ量を増やしながら様子を見てあげて食べきる量を把握するようにしましょう。与えすぎて餌が余ると一気に水が汚れてしまうので注意しましょう。
また、餌をよく食べるからといってたくさんあげ過ぎるのはNGです。甲羅の成長が内臓の成長に追いつかず、内臓が圧迫され様々な病気の原因となります。また、脂肪肝になり「毒血症」を発症すると、肝臓に溜まった毒素が血液に流れることによって神経症を起こし、手足が動かなくなる場合もあります。カメも「肥満」になるので十分注意してあげてください。
甲羅からお肉がはみ出るようなら要注意!特に前脚と後ろ脚の付け根の肉がはみ出てきます。
飼育水
飼育用ケージには少なくても亀の甲羅がすっぽり水の中に入る程度の水を入れましょう。できれば2~3倍の深さは欲しいところです。カメは結構な量の排泄物を出すのですぐに飼育水が汚れてしまいます。フィルターを付けていたとしても数日に一度は水替えをしてあげましょう。先にも書きましたが、カメは喉が渇くと飼育水を飲んでいます。あまりにも汚れがひどいと飲むのをやめ、脱水症状を起こすことがあるので注意しましょう。
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準備すると完璧な飼育用品
※ミドリガメ、イシガメ、クサガメを日本で飼育するのであれば、水中ヒーターを使用していれば、以下の用品は必ずしも必要なものではありません。飼育環境やそれぞれの飼い主さんによって異なります。できるだけ準備してあげたいところですが、飼育環境や予算面をみて準備してあげましょう。
バスキングライトと保温球
明るさと温度を供給します。カメは変温動物であるため自分で体温を調節することができません。自然界では日光浴をすることで体温を上げ、新陳代謝を促進して消化吸収を行っています。
ちなみに、初心者の方はちょっとこんがらがっちゃうところですが、バスキングライト=保温球ではありません。保温球は飼育ケージ内全体の温度(環境温度)をあげてあげるものです。それに対し、バスキングライトは集光型のライトで、一点集中して温め、お日様の下にいるような場所(ホットスポット)を作ってあげるライトです。
ただ、リクガメの場合は保温球等を設置して環境温度をを作ってあげる必要がありますが、ミドリガメ、イシガメ、クサガメのようなミズガメの場合は水中ヒーターがあるので保温球は特に必要ありません。
ミドリガメ、イシガメ、クサガメであれば日本の気候(気温)でも十分対応できます。しかし、カメが食後に体温を上げて消化吸収を助けてあげられるようにホットスポットを作ってあげたいものです。ホットスポットの温度が35~40℃ほどが適温となるので、水槽の大きさに合わせたライトのワット数を選んであげます。照射する場所は浮島や陸地の一部など、カメが水から這い上がって“ひなたぼっこ”が出来るような場所にしてあげましょう。
バスキングライトのワット数は以下を参考に。
ケージの大きさ | ワット数 |
45cm | 30W~50W |
60cm | 50W~75W |
90cm | 75W~100W |
ライトを設置する際は近づけすぎるとやけどの原因となりますので、少し陸地から距離を置いて必ず飼い主さんが確認してあげましょう。ちなみにライト自体はかなり熱くなりますので、飼い主さんも触ってやけどをしないように注意してください。
サーモスタット
ところでバスキングライトや保温球をつけっぱなしにしていると水槽内はどうなるでしょうか?そうです、ケージ内の温度がどんどん上がり続けてしまいます。そこで必要なのがサーモスタットといわれる器具です。これは温度センサーが付いていて、一定の温度になるとスイッチがON/OFFされる仕組みになっています。ですから、ライトと接続することで、設定温度より上がりすぎたらOFF、設定温度より下がったらONすることができる器具です。これは保温球やバスキングライトと必ずセットで準備してあげましょう。
ちなみに下のサーモスタット「ジェックス タイマーサーモ RTT-1」にはタイマー機能も付いていて大変便利ですのでおすすめです。
ホットスポットを作るために
【サーモスタット(&タイマー)】+【ライトスタンド】+【バスキングライト】をセットで準備します。
紫外線ライト
硬い甲羅に覆われたカメ類に大切なことは日光浴です。よく動物園やその辺の川で天気の良い日に陸に上がって日向ぼっこをしている光景を見かけないでしょうか?あれは太陽光を浴びて体温を上げることと、もう一つ重要な意味があります。
それは、カメを始めとする爬虫類は太陽光に含まれる紫外線を浴びることで体内でビタミンD3を作っています。そして、甲羅の成長に必要なカルシウムの吸収のためにこのビタミンD3を利用しているのです。ですからカメの成長には日光浴、または人工的に紫外線ライトを設置してあげる必要があります。紫外線を浴びないとクル病という病気になったり、上でも述べたように成長不良の原因となりますので、日光浴をさせてあげられない環境であれば紫外線ライトを準備してあげましょう。こちらもバスキングライトと同様に浮島や陸地に対してセットしてあげます。
ただ、実際は薄暗い部屋で飼育していない限りは紫外線ライトは必要ありません。ミドリガメ、イシガメ、クサガメの場合は紫外線ライトを使用していない飼い主さんも多いですし、私も部屋で買っているクサガメ達には紫外線ライトを使用していません。ですが、全く日の光が届かないような場所で飼育する場合は紫外線ライトも用意してあげましょう。
紫外線ライト用タイマー
紫外線ライトはタイマーに接続して、自然界と同じように一日のうち必要な時間だけライトがONになるようにしてあげます。ライトを照射する時間は、自然界にあわせてだいたい朝の7時~夕方5時くらいを目安にするとよいでしょう。
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(詳細はAmazonでご覧ください)
24時間プログラムタイマーII
設定簡単
色々使えて便利
トラッキング防止プラグ採用
<<重要>> 必ず温度計で確認すること!
バスキングライトの照射で作ったホットスポットの温度や、保温球で暖めた環境温度が、適正な範囲になっているかを必ず専用の温度計(または温湿度計)で測りましょう。その都度、ライトの設置場所を修正したり、サーモスタッドの温度設定を微調整してください。
お薦め! ┣ 小動物 ┣ 観賞魚 ┗ その他ペット | お薦め! ┣ 小動物 ┣ 観賞魚 ┗ その他ペット |