今回は、リクガメの飼育において重要な温度と湿度の管理についてお話させていただきます。リクガメの種類ごとに元々住んでいた原産地が違うので、ちょうど良い温度・湿度は異なります。乾燥している環境を好む種類もあれば、多湿な環境を好む種類もあります。温度も高めがよかったり、低めがよかったりします。
いろいろな器具を使って適切な温度・湿度に保ってあげるわけですが、初心者にはなかなかわかりにくいところですよね。しっかり勉強して、それぞれの種類に合わせた飼育環境を用意してあげましょう。ただ、すべての種類について説明していると膨大な量になってしまうので、ここではいくつかに分けで説明します。
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リクガメと飼育温度の関係
まず、超基本的なことですが、カメは変温動物です。つまり我々哺乳類のように自分で体温を調節することができません。カメは外界の気温によって体温が変化し、それに合わせて行動も変化します。ですからカメの飼育において温度を管理してあげるということは何よりも基本的で重要なことになります。
リクガメの温度管理に必要な基本的な知識
リクガメを飼育する際はケージ内に温度の勾配(こうばい)をつけてあげることが基本です。1つのケージの中に大きく分けて以下の2つの環境を作ってあげます。
- お日様の下にいるようなぽかぽかと暖かく体温を上げられる場所(ホットスポット)
- それ以外の餌を食べたり眠ったり通常の生活をする場所(この温度を “環境温度” という)
温度勾配のあるケージの中では、リクガメたちはそのときそのときで自分が一番快適な温度だと思う場所へ移動して活動、または休息します。そこでリクガメをケージで飼育する際には、上の2つの場所を人工的に作ってあげるための設備(飼育器具)が必要になります。それではどのような器具が必要なのでしょうか。
1. ホットスポットを作るために必要な器具は?
ホットスポットを作り出すにためには、集中的に温度を高める器具を使用します。代表的な器具としてバスキングライトがあります。
よく初心者の方が勘違いしやすいのですが、バスキングライト=保温球ではありません。バスキングライトは集光型で、あくまでも一定の場所の温度を集中的に高めるものです。一方、保温球についてはこのあと説明しますがケージ内全体を温め “環境温度” を作り出すための器具です。
バスキングライトはケージの一角に設置して、リクガメが十分に体温を上昇させることのできる温度に設定してあげます。ホットスポットの温度は、昼間であれば30~40℃(35℃くらいを目安に)、夜間はOFFにして、自然環境を再現してあげます。(夜は太陽はありません)
リクガメは、朝起きたら活動を開始するために、または食事の後に消化を促すために、ホットスポットにやってきては体温を上げようとします。
基本的にバスキングライトは、【バスキングライト】+【ライトスタンド】+【サーモスタッド】 をセットで準備します。サーモスタッドというのは、温度センサー付きのスイッチのようなもので、設定温度になるとライトのON/OFFを自動でしてくれることで、ホットスポットの温度を一定に保ってくれます。これがないと常にライトがONの状態になり、温度管理が難しく、場合によってはケージ内の温度が上昇し続けてしまうという事態になってしまいますので、しっかり準備しましょう。
最近のサーモスタッドにはタイマー機能もついているので、セットで買うと楽です。バスキングライトの照射時間は1日8時間~10時間くらいにタイマーでセットしてあげましょう。
バスキングライトは主に30W、50W、75W、100Wのものがあり、ケージの大きさ、または季節によって換えてあげます。特に冬場はワンランク上のワット数のライトを使用するといいです。ワット数については以下を目安とするといいでしょう。
ケージの大きさ | ワット数 |
45cm | 30W~50W |
60cm | 50W~75W |
90cm | 75W~100W |
設置するときは、近すぎると温度が高くなり過ぎカメが火傷するおそれがあります。また、電球は非常に熱くなるので人間が触ると一発で火傷します。あとはカーテンなど燃えるものと接触すると家事になるおそれがあるので十分に注意しましょう。
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2. 環境温度を維持するための器具
ホットスポット以外の通常生活をする環境温度を作り出してあげるための器具です。保温球やセラミックヒーター、パネルヒーターがあります。
リクガメ飼育での環境温度の目安は、成体のリクガメでしたらゲージ全体として28℃~30℃、リクガメが体やお腹を温めるための保温球やヒーターの直近部分で32℃~35℃が目安です。それぞれの場所を温度計を使って適温になるように調整します。
環境温度をつくってあげるための飼育器具は、基本的にはホットスポットの時と同じように、【保温器具(保温球等)】+【ライトスタンド】+【サーモスタッド】 です。サーモスタッドはバスキングライトと連動させずに独立させてあげます。そうじゃないと、バスキングライトがOFFになったときに保温器具もOFFになってしまいますので環境温度が一定になりません。環境温度用のサーモスタッドを別に準備してあげましょう。
夏場は全体の温度が35℃超えてしまうような時もありますが、これは危険です。そうした時期はケージを風通しの良い場所や日陰に置くことで調節しましょう。また、昼と夜で温度差をつけることも大切です。夜間は23℃~27℃を目安に設定しましょう。
子どものカメの場合は昼夜の差は少なくしてあげます。一日を通して30℃程度に保ち、昼夜の差も1℃や2℃に抑えましょう。
保温球として赤外線照射ランプがあります。赤外線照射ランプの赤っぽい光は人間には見えても爬虫類には見えない(見えにくい?)と言われています。ですから、赤外線照射ランプを使用することで、リクガメの睡眠を妨げることなく昼夜問わず保温することができます。
<<重要>> 必ず温度計で確認すること!
バスキングライトを使ったホットスポットや、保温球やパネルヒーターなどで暖めた環境温度が、上で説明したような適正な範囲になっているかを必ず専用の温度計(または温湿度計)で測りましょう。その都度、設置位置を変更したり、サーモスタッドの設定を変えるようにしてください。
リクガメの湿度管理に必要な基本的な知識
リクガメの種類によって好む湿度は大きく差があります。乾燥地帯に住むカメたちでしたら低いもので40%、森林などの多湿地帯に住むカメたちですと高いもので80%にもなります。カメたちの性質に適した湿度管理をしてあげましょう。
季節による湿度の変化に注意
先ほど述べたように、乾燥地帯のカメたちでも湿度40%は必要とします。それに対して日本の湿度はどうなのでしょうか。以下の表は気象庁のデータをもとに作られた月ごとの湿度をまとめたものです。
出典:気象庁
夏は乾燥地域のカメたちに、冬は多湿地域のカメたちにとって、それぞれ厳しい環境であることがわかります。冬の低湿度でも乾燥地域のカメたちには厳しいことがわかります。
乾燥(低湿度)に対する対策
乾燥対策として、ケージの中に水入れを入れておくというものがあります。ただし、水入れは安定性の高いものを選んでください。そうでないとカメがケージの中を歩き回った時にこぼしてしまうおそれがあります。また、ケージ内に霧吹きで水を撒いたり、加湿器を使い部屋全体の湿度をあげてしまうのも有効な手段です。
他の対策として、容器に湿らせた水苔を入れるということをしている飼い主さんも多くいます。水苔から適度に湿気が出てくるのでおすすめです。
それから小さな鉢植えの植物をケージ内に置いて、土に水をあげて湿度を保つという対策方法もあります。100円ショップなどで売っている植物でも見た目がよくていいですが、特にサツマイモがオススメなんだとか。どんどん葉が伸びて、カメもモリモリ食べてくれるらしいです。でも伸び過ぎてライトに接触しないように注意が必要です!
高い湿度(多湿)に対する対策
風通しの良い場所に置きましょう。もしくは、熱帯魚水槽用のファンでケージに取り付けられるタイプのものがありますのでそれを利用するとよいでしょう。しかし、その場合は温度も一緒に下がってしまうという点と、カメに直接風があたらないようにしなければならないという点に注意してください。送風はカメ自体の体温を下げるのではなくケージ内の空気を循環させてあげるためだということを頭に入れて置いてください。
また、炭を置いておくのも有効です。炭には吸湿や消臭の効果がありますので、備長炭などを小物入れなどに入れて、ケージ内でカメの手の届かないあたりに置いておくといいでしょう。除湿剤や乾燥剤を使用する方法もありますが、カメが誤って食べてしまわないようにケースに入れたり、囲いを作って専用のスペースを準備するなどしましょう。
上手く工夫してカメたちの過ごしずらい季節をしっかりサポートしてあげましょう。
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