ハムスターのちょっとした仕草に見とれてしまったり、思わずカメラを構えたりしてしまいますね。ただ眠っているだけでも、かわいらしくて癒されるものです。そんなハムスターの仕草といえば「顔を洗う」、「頭を抱える」、「両手で餌をつかみながら食べる」、「頬を膨らませる」など、どれもかわいいものばかりでしょう。
もちろん、ハムスターの仕草にはそれぞれの意味があり、気分の良いとき、気分の悪い時、ストレスがあるとき、体調が悪い時など様々です。ハムスターにとっては無意識な行動ですが、人間(飼い主)と共通の言葉を持たない彼らのちょっとした仕草からでも、その気持ちや体調の変化を汲み取ってあげたいものです。
ハムスターはいろいろな仕草を見せてくれますが、ときには要注意な仕草もあります。かわいいなーと微笑ましく眺めていればいいだけの場合と、そうでない場合にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。
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ハムスターの仕草や行動とその意味すること
ハムスターの仕草とその意味をいくつかご紹介します。
毛づくろい
まるで顔を洗っているようなしぐさや体中を撫でるかのようなしぐさをすることがあります。毛並みを整え清潔にすると共に、全身に自分の匂いをつけていたり、被毛に唾液をつけることで栄養を与えていたりします。これは、ハムスターにとってリラックスしていることを意味し、寝起きやご飯の後に見せることが多いご機嫌なサインです。こんなときはせっかくリラックスしているのですから、ケージの掃除など人間が手を入れてお世話をするのはもう少し待って、そっとしておいてあげましょう。
一方で、飼育環境に慣れていないときや不衛生な場合、ストレスが溜まっている場合、皮膚病に感染している場合も毛づくろいの行動をすることがありますのでよく観察してあげましょう。(詳しくは下の記事)
耳を立ててキョロキョロしている、鼻をヒクヒクさせている、後ろ足でピンと立つ、フリーズする
ハムスターは視力が弱く、聴覚や嗅覚で周囲の情報を集めているといわれています。耳を立ててきょろきょろしたり、鼻をヒクヒクさせたり、後ろ足でピンと立っていたり、フリーズして微動だにしなくなるのは、目・鼻・耳のすべてを使って周囲の状況を確認している仕草です。自分がどんな場所にいるのか、自分に危害を加えるものはいないかなどを確認しているのです。
回し車を全力で回していたのに、突然立ち止まってキョロキョロしたり、じっと固まってしまうことがあります。この場合、特に足が挟まってキーキー鳴くということがなければそっとしてあげましょう。ハムスター本人にとっては実は回し車で走った後、遠くまで走り切っている、移動しているつもりなのです。思わず遠くまで来てしまい、ふと気づくと周りに敵がいないか?ここはどこ?と不安になって周囲を確認しているのです。とても微笑ましいですね。
体を伸ばして寝ている
これは、「暑くて寝苦しい」のサインです。本来はハウスの片隅やケージの片隅に固まって眠るものですが、無防備にも体を伸ばしてしまっているという事は、「暑い」「寝苦しい」ということなのです。
通気をよくしてあげたり部屋全体の温度を適正に(18~26℃の範囲内に)調整してあげましょう。特に、水槽や衣装ケースなどの通気性の悪いスペースで飼育している場合、このしぐさが見られた場合には、通気性と温度管理の見直しをしてあげましょう。
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仰向けになって寝ている
この場合も「暑く寝苦しい」のサインであることが多いですが、仰向けで眠ることにはただ単に「安心しきっている」という場合もあります。飼育温度が適正なのに仰向けで寝ている場合は安心しきっている証拠です。そっとしておいてあげましょう^^
丸くなる
寝てます^^丸くなっているのはリラックスしている証拠で、基本的にハムスターは丸くなって寝るので静かに見守ってあげましょう。
穴を掘る
もともと自然界のハムスターは地面に穴を掘ってそこを巣として生活しています。穴を掘るというのはハムスターの基本的な習性です。穴掘りが好きな子であれば床材を深めに入れてあげるなどして工夫してあげましょう。ただし、床材を入れすぎてケージの上に手が届くと易々と脱走してしまうので要注意です。
ときには環境に馴染めないなどでストレスを感じ、脱走を試みて穴を掘り続けている可能性もあります。穴掘り行動をすることでストレス解消にもなっているかもしれません。
通常は新しくお家にお迎えして1週間ほどで収まってくるはずです。1週間以上経っているのに掘り続けているような場合は環境に馴染めていないだけでなく、他の要因があるかもしれません。飼育温度が低く、寒いと感じている場合も潜ろうとしますので温度の確認もしてみてください。必要であれば環境を整えてあげましょう。
首をすくめる
ハムスターが立ち上がって首をすくめる、丸まったまま固まって首をすくめるなどのしぐさを見せた時、どちらの場合も驚きと恐怖のサインです。大きな音や突然触られた時によく見られます。まだ人に慣れていないハムスターがこの仕草をした場合には、触れずにそっとしてあげましょう。
必要であれば、ケージの位置を移動してあげるなどの対策も必要です。大きな音がする場所を避け、ある程度静かな場所に設置してあげましょう。ただし、静かすぎる場所は逆効果の場合があります。これはどんなペットでも言えることなのですが、あまりに静かすぎる環境に慣れてしまうと、小さな物音にも敏感になってしまい、過剰に神経質になってしまうようになります。ある程度は生活音のする場所(人が行き来する場所など)に設置してあげることで過剰に神経質にならずに済むようになるでしょう。
金網をかじる
金網のケージで飼育した場合、かなりの確率でこの行動を目にかけると思います。大きく分けると2つの理由が考えられます。
まずは、もともとハムスターは硬いモノをかじることが好きで、硬いモノをかじることで歯の長さを調整するからです。金網をかじることの対策として「齧り(かじり)木」を入れてあげるといいと言われています。しかし、それだけではなかなか金網をかじることをやめてくれないことのほうが多いようです。
もう一つの理由として、金網の外に出たいという気持ちの表れであることが多いようです。注意したいのは金網をかじったから餌をあげたり外に出してあげるという飼い主さんの行動です。こうすることでハムスターは「金網をかじれば餌がもらえる、外に出してもらえる」ということを学習してしまいます。だからといって、放っておくのもよくありません。
金網をかじり続けると、歯の形状に異常をきたし(不正咬合 ふせいこうごう)、食事が摂れなくなるなどの弊害が出てしまいます。以上の理由から金網のケージはおすすめしません。すでに金網ケージで飼育されていて金網をかじる癖がある場合は違う種類のケージを購入する、または金網ケージの内側に透明なプラ板や下敷きなどを貼って対策することをおすすめします。
うんていをする
金網ケージの天井などでうんていをしてみせることがあります。運動をして遊びながらストレス解消をしていると言われています。見ていてとてもかわいいです。しかし、落下してしまい骨折や脱臼を起こしてしまう可能性があります。信じられないかもしれませんが、運悪く首の骨を折ってしまい死んでしまう場合も多く報告されています。ですから、見ていてかわいいからと放っておくべきではない行動です。「今まで何事もなかったのは運がよかっただけ」だと飼い主さんは思ったほうがいいかもしれません。
対策としては、金網をかじる行動のときと同様に、金網ケージ以外の種類のケージを購入する、または天井にプラ板や下敷きを貼るなどして天井を掴むことができないようにすることです。床材を厚くするなどの対策もありますが、おすすめしません。うんていをさせない根本的な環境の変更が必要になります。
キーキー鳴く
何か不快なことを感じている証拠です。原因はいろいろですが、早急に原因を突き止めて対策をする必要があります。原因として考えられるのは、怯えている、興奮している、体のどこかが痛いということです。(威嚇する場合は、キキッ!ジジッ!と鳴きます)
新しくお家(新しい環境)にお迎えして、まだハムスターが慣れていない不安な状態で飼い主(人間)がお世話のために手を近づけるとキーキーと鳴くことがあります。こんなときは必要最小限なお世話(餌やりなど)にとどめてそっとしておいてあげましょう。環境に慣れてくるためには最低でもおよそ一週間ほどはかかります。
また、飼い主が近くにいなくてもいっこうに泣いてばかりいるときは体に異変がある可能性が高いです。ハムスターは病気の症状が進むのがとても早いので、自分で原因を探すよりも一刻も早く病院へ連れて行きましょう。
視線を合わせない、背中を向ける
視線を合わせてくれなかったり、背中を向けるという場合は飼い主さんに対して心を開いてくれていないということのようです。動物にとって視線を合わせるということは大きなストレスです。知能が高い動物ほどこの傾向があります。ハムスターはとても知能の高い動物ですから本能的に目を合わせることを避けようとします。ですが、飼い主(人間)が自分にとって害がない、餌をくれる、お世話をしてくれる存在だということがわかれば、警戒心も薄れこちらを向いてくれるようになるので焦らずお世話をしてあげましょう。
糞を食べる(食糞)
ハムスターをはじめ、ウサギやモルモット、リスなどの齧歯目には「食糞行動」が見られます。お尻から直に自分の糞を食べる姿を目撃したときにはショックを受けるかもしれませんが、これはハムスターの習性であり問題行動ではありません。
糞を食べているようですが、実は食べているものは通常のコロコロとした硬い糞とは違い、水分やビタミン類、アミノ酸を多く含んだ「盲腸便」と言われるものです。
齧歯目類というのは、消化しにくい植物を盲腸内にいる盲腸菌の力を借りて分解します。そして分解した吸収しやすい形にして排出したもの(盲腸便)を再度食べることで吸収効率を上げているわけです。これは長年、厳しい環境である野生で生き延びてきた動物たちが獲得した知恵であり生きる術です。
基本的には飼い主さんの前では食糞行動を見せずにこっそりと行っているはずです。食糞行動が見られた時には体調が良い証拠でもあるので安心して見守ってあげてください。(まったく食糞しないのもある意味問題なのです)
糞を飛ばす
これはなんででしょう^^おそらく遊んでいるだけのようですね。特に理由はわからないですが、問題のない行動とみていいでしょう。
頬袋の中身をぶちまける
ハムスター本人にとっては命の危険に関わるような非常事態と感じたときにとる行動です。とにかく身を軽くして、一目散に逃げるために頬袋の中身をぶちまけているわけです。特に飼育環境に慣れていない時期など周囲の状況に過敏になっているときに多く見られる行動です。とてもストレスがかかっている証拠なので、できるだけ刺激しないように環境に慣れるまではそっとしておいてあげましょう。
指を噛む
指を噛む理由は3つ考えられます。攻撃、要求、病気です。
原因① 攻撃
1つは「攻撃」です。指を噛む原因としてはこれが一番多いでしょう。
ハムスターを新しくおうちにお迎えしたりケージの設置場所を変更するなどした場合、新しい環境に慣れていないハムスターは精神的に非常にナーバス(敏感)になっていて、身を守るために人間の指が攻撃の対象となってしまっています。または人間の手を自分の縄張りに入ってきた他個体だと勘違いしていることが考えられます。こんなときは一旦距離をとり、焦らずゆっくりと慣れてもらうしかありません。
原因② 要求
2つ目は「要求」です。何かをしてほしいときに噛むというものです。
いつも指を噛まれながらもそのまま餌を与え続けると、ハムスターからすれば指を噛めば餌がもらえると学習しまいます。またはケージに入れた手を噛むと手を引っ込めてくれるということを繰り返していると、指を噛めば自分の縄張りから消えてくれると学習することもあるでしょうし、抱っこしているときに噛めば離してもらえるということも学習するでしょう。
このようなときはその一連の行動パターンをなくしてしまうのが一番の対策です。
噛まれたタイミングで餌をあげないようにして、ハムスターが見ていないときにそっと餌を置いておくようにしましょう。ハムスターと接することを避けて少し距離を置いてあげましょう。噛んだ時に大声を出したり叩いたりするのはハムスターに恐怖心を与え、1つ目の「攻撃」の対象となってしまい、逆効果なのでやめましょう。かわいいハムスターと距離を置かなければならないのは飼い主にとって寂しいですし、非常に根気が必要な飼育になりますが、時間をかけてじっくり慣らしていくといつの間にか噛まなくなっていることが多いです。
原因③ 病気
3つ目は「病気」です。ハムスターの体のどこかが痛いために攻撃的になっていることがあります。または体に触れた時に痛みのために思わず攻撃してくるのです。今まで噛まずによく懐いていたのに急に噛むようになった場合は、骨折なども含めなんらかの病気になっている可能性があるので一度病院で診てもらうようにしましょう。
短い一生だからこそ
ハムスターの寿命はとても短いです。彼らが幸せに暮らせるように、飼い主さんは日頃から彼らの仕草や行動からどんな気持ちなのかをくみ取って適切なお世話をしてあげたいものです。
今回は代表的な仕草や行動について見てみましたが、他にもいろいろなものがあります。病気からくる異常行動の場合も多いのでいつでも対処できるように、おうちに飼育用の本や病気の本を常備して、積極的に知識を増やしていきたいものです。
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